「…おや?何かいい香りがしますね、ジープ。」
「きゅ〜♪」
朝ご飯を食べている時、に一日台所を貸して欲しいと言われた。
特に何かある訳じゃなかったので笑顔で頷いて、何か作るんですか?と尋ねたら…僕から視線を反らして一生懸命言葉を紡ぐ様子からすぐに何かあるのだと分かった。
でもが考える事に悪い事はありませんからね。
それ以上何も聞かず、彼女がその事に専念できる様いつもなら洗濯をしたり掃除をしたりして居間に出入りするんですが…今日は全てお休みにして部屋で大人しくしている事にしました。
本当はお手伝い、したいんですけどね。
今は静かですけど、最初の頃は何だか色んな声や物が落ちる音が聞こえて…それらが気になって中々本が読めなかったんです。
本当だったらもう読み終えてるはずの本が膝の上に開かれたまま置かれている。
が何をしているか…ちょっと分かった気がします。
机に置いてある小さなカレンダーを見るとどうしても頬が緩んでしまう。
多分、彼女は今日が何の日か知ってるんでしょうね。
僕は久し振りにプレゼントを開ける前の子供の様にドキドキした気持ちで、部屋の扉が開くのを…ずっと待っているんです。
不思議ですね…こんな気持ちになるなんて。
実は僕って自分が思っているよりも結構幼い人間だったのでしょうか?
「きゅ♪」
僕が振り向くよりも先にジープが何かの気配を感じて部屋の扉へ飛んで行った。
…ようやくお呼ばれでしょうか?
ジープが暫く扉の前を浮遊していると、ちょっと遠慮がちに扉を叩く音が聞こえた。
「はい。」
「…八戒?」
朝から読んでいたにも関わらず、しおりの位置があまり動かなかった本はサイドテーブルに置かれ、僕はジープを腕に抱いてずっと開けられずにいた扉に手を掛けてに示されるまま居間へ向かった。
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